戻る
 
行 動 記 録
■  7月26日(月)晴れ

今回も一人旅のスタートとなった。朝風呂に入り朝食を早めに済ませて7時に自宅を出発する。阪神高速から名神高速に入り、通勤ラッシュもない休日の朝の快適なドライブの滑り出しである。途中大津SAで最初の休憩をとり、その後中央自動車道に入るとさらに車の数は減少し、本来の高速道路の機能を満喫しながら進み信州路に入る。駒ケ岳SAで昼食を済ませ、駒ヶ根ICから降りると菅の台バスセンターにはすぐに着く。ロープウェイを利用するにはマイカーもここまで。ここから20分のバスとなるためばたばたと服装を整え、ザックの中身の点検を済ませてバスに乗り込む。  ロープウェイの駅前ではかなりの人数がざわざわと待っている様子。バス降車時に整理券とやらを渡されて待つことなんと1時間40分、15:20分にやっと乗車。山行きの格好での乗車はなんとなく気がひける。  約5分で千畳敷駅に着く。ここはもう観光地化された雰囲気が強く、スタイルもまちまちである。長居は無用とすぐに出発。トラバース気味に進むコースもあったが、せっかくなのでいったんカールの下部まで少し下り、そこからカールの谷芯をゆっくり登って行く。コースは完全にロープがひかれており半歩でも足を踏み出そうものなら、遠くからハンドマイクで「ロープから出るな!」と怒鳴られている。  一応事前の知識では、この千畳敷カールは高山植物の宝庫で知られており、どこでも撮影できるようにカメラをぶら下げ、期待しながら進むがカメラアングルにマッチする場所での花が見当たらない。とても踏み入ることが出来ない遠くではちらほらと確認できるが、期待した割には花の絶対数が余りにも少なすぎる感じである。ロープウェイの車内放送では「日本でも有数の高山植物の宝庫」を強調していたが、こんな状況では「かつては…」のことばをあたまにいれなくてはならない感じだ。写真では「コバイケイソウ」の群落地のような写真が多かったが、数多くの種類の花を咲かせるお花畑を知っているためかなんとも物足らないことか。おそらくロープウェイの開通による便利さ、手軽さと引き換えに、お花畑は踏みつけられ、消えていってしまったようだ。おそらく消えかけたお花畑に「ロープで通路を固定するコンベア観察路」を採用したのだろうが、おそらくもう元に戻ることはないだろう。高山植物の宝庫との宣伝に訪れ、上部稜線のお花畑も見ることなくひき返して行く多くの観光客には、この実態がどう解釈されるのだろうか?上まで登って小屋に泊まり、1日じっくり歩き回れば何十種類という高山植物が待っているのだが…。  千畳敷での撮影はあきらめさっさと稜線に向け足を進める。ここの稜線には山小屋が多い。今日の宿泊はどこにしようかと思案しながら、頂上木曽小屋まで足をのばし、ここで一夜のご厄介になることに決める。この周辺には「珍種の白花こまくさ」が咲いており、感動しながらカメラに収める。やはり「観光地」から離れると花たちも良く知っているのだろう。「ホソバツメクサ」「ユツバシオガマ」「オヤマノエンドウ」「チシマギキョウ」などがつぎつぎ現れ迎えてくれる。  17:45に小屋に着く。地元の木曽福島中学の団体が来ておりにぎやかなものだ。静かな屋根裏の部屋に案内され、落着く。  徐々に暮れてゆく夕陽は丁度木曽御岳のてっぺんから、赤々と今日の一日に幕をおろすように沈んでいった。  

■  7月27日(火)晴れ一時小雨

今日の行動予定は木曽駒が岳周辺の広い範囲の高山植物をじっくり撮ってゆくこととし、6:15に小屋を出発し頂上へ向かう。10分も歩けば懐かしい頂上だ。この山は1964年に最初の冬山合宿を行った山であり、その後春以外の四季を通じて登り、今回はたしか6度目のはずだ。  晴れてはいるが風が強く、遠くの視界はあまり良くはない。木曽川を挟んで西の正面にでんと構える御岳や、北アルプス・南アルプスの嶺々も上部は雲の中に隠れている。  頂上から北東に伸びる馬の背尾根を約300m下ってゆき、地図上で標高2680mあたりとなる8号目分岐点から濃が池に向かう。馬の背の稜線では花の種類も豊富になり、アオノツガザクラ、ミヤマリンドウ、ホソバイワベンケイ、ゴゼンタチバナなどがひときわ強く目に飛び込んでくる。朝露のまるい水滴を葉の先端にぶら下げ、きらきら光らせている様は、お互いがじゃれっこしているようにも思え、なかなかひょうきんな光景だ。  濃が池カールの底まで下ってくるとここの地形はまるで鍋の底から見上げる感じとなる。池畔ではミヤマクロユリ、コバイケイソウ、ショウジョウバカマ、ミヤマカラマツなどが群生しており、いろいろなポーズをとって待ってくれていた。  ときおり霧雨が降り始めたが、雨具を出すほどでもない。ここ濃が池カールの底からこんどは谷沿いに頂上稜線に向かう。このあたりはひときわ花の種類も多く、ゴゼンタチバナ、タカネグンナイフウロ、ミヤマクロユリ、タカネ黄スミレ、ヨツバシオガマ、ミヤマキンポウゲ、チングルマ、ハクサンフウロ、ホトトギスなどを撮りながらの登りとなる。  稜線にある宝剣山荘前で、コンロを出し温かいスープを作り、2度目の行動食をとる。降り止んでいた霧雨もときおり本格的な雨模様となって、大きな岩場に体を隠しながら待機しようとしたものの、雨よけにはならず、直ぐ前の宝剣山荘に雨宿りの休憩をする。(お茶代名目の雨宿り料200円:ストーブには火が入っていた)どうやら天候は予測していたより早く下ってきたようだ。計画では今夜もどこかの山小屋でもう1泊し、明日下山する予定でいたが、この分だと明日は雨となりそうなので、今日のうちに宝剣岳に登り、その先の極楽平から千畳敷カールを下り下山してしまうことに変更する。  宝剣岳は大きな岩場の岩峰で、ここまでのなだらかな稜線の地形とは打って変わって岩場の世界となる。 登りはまだ良いが、岩場の下りはちょっと気が引き締まる。スッパリ切れ落ちたところには、鎖が固定されているため危険は感じない。  極楽平で稜線とも別れ千畳敷カールに入る。昨日登ったコースとは異なりこちらのコースは観光客は登って来ない。それだけに高山植物も豊富だ。6本用意してきたフィルムもそろそろ終わりが近い。  下山のロープウェイは余り待つこともなくすんなり下山。駐車場で夕食をつくり今夜は車内泊。  

■  7月28日(水)曇り

朝近くの「光善寺」に立ち寄り、帰神の途につく。  

戻る