家族登山(シリ−ズNO.20)

スイス10日間漫遊の旅・3大名峰を訪ねて


と  き・・・・平成12年7月21日(金)〜7月31日(日)
コ−ス・・・・
関空=ウィーン乗り継ぎチューリッヒ〜ラインの滝観光〜リヒテンシュタイン公国ファドューツ観光〜 ハイジの故郷マイエンフェルト村散策〜サンモリッツ〜氷河特急〜アンデルマットでローヌ氷河観光〜 ツエルマット〜登山電車でゴルナグラード展望台からマッターホルン展望(ミニハイキング)〜 ゴッペンシュタイン〜インターラーケン〜グリンデルワルド〜登山電車でユングフラウヨッホ展望台〜 ブリエンツ湖ランチクルーズ〜シヨン城観光〜モントルー〜フランス領シャモニー〜ロープウェイの 乗り継ぎでモンブランなどの素晴らしい白銀の世界エギーユ・デュ・ミディ展望台へ〜ジュネーブ観光〜 ウィーン乗り継ぎ関空=帰神

メンバ-・・・・夫婦二人旅(ツアー参加)

旅のあらまし

7月21日(金)第1日目



しばらくの日本脱出。オーストリア航空OS558便で出発。長い空の旅のはじまりだ。 途中、オーストリヤ・ウィーン乗り継ぎでスイスの玄関口チューリヒへ向かう。飛行時間はウィーンまでが約13時間、 乗り継ぎを経てさらに1時間あまりの長い空の旅から始まる。
いよいよ出発


7月22日(土)第2日目



1日目の長い長い空の旅の疲れも昨夜のチューリッヒでぐっすり眠ったせいか心地よい。 いよいよ観光開始。 まずヨーロッパ随一と言われる「ラインの滝」へ。 ボーデン湖から流れ出る滝の水量がものすごい。 この後中央の岩峰へ・・・。川下側の少し流れがおだやかなところをめがけて小船で近づき岩峰に上陸 するオプションにも参加したが滝の中央からの眺めは凄い迫力。
ヨーロッパ最大の規模を誇るラインの滝



左岸には滝の落ち口付近まで降りて行ける下降路があり、下って行くが ゴーゴーと落ちて行く水流の「塊」に吸い込まれそうな感じがして足がすくむ。
滝の落ち口へ下る道では吸い込まれそうな迫力



スイスとイタリヤの国境に村のように存在するリヒテンシュタイン公国に立ち寄る。 国の大きさは東京ディズニーランド数個分くらい?じつにこじんまりとした国のようだ。どこの店にも色々 な切手が並んでいる。切手と観光の国。
切手の小国リヒテンシュタイン公国の首都ファド ーツ



「アルプスの少女ハイジ」の故郷マイエンフェルト村を訪ねる。 「アルプスの少女ハイジ」の作者はこのあたりの景色をイメージしてあの童話を作ったそうだ。 世界中の言葉に翻訳され、今も各国の子供たちの人気を失わないアニメになっているそうだ。
アルプスの少女ハイジの故郷・ハイジの家



何もないのがいい。大きなもみの木を見ていると、おじいさんがこの枝にロープを 掛けて作ったブランコにハイジが髪の毛をなびかせながら漕いでいる姿がふと思い出される。
何もないのどかで贅沢な風景


7月23日(日)第3日目



今日は快適な”氷河特急ファーストクラス”で出発。昼食のときは「食堂車まで行かなくても この席でとれるように運びましょう・・・」と、さすがファーストクラス。
車窓からは次第に日本離れした景色が次々に飛び込んでくる。次第に山岳地帯に近づいてくると、上部に雪を抱いた山々も見え隠れ し始めた。カメラを構えてみるもののやはり無理。幾度となくやってくる車内販売の「おみやあげ〜」の陽気な声につられて、 氷河特急名物の「傾いたワイングラス=リーニンググラス」を2個購入。傾斜のきつい山道を行く登山列車の中でもワインが こぼれないように グラスの腰を少し曲げてあるところがにくい。
天井までガラス張りの展望車



通常のツアーならこのまま氷河特急でツェルマットまで直行し、氷河地域は現在では安全のために 掘られた「新フルカトンネル」を通るため氷河は見えないらしいが、このツアーは途中トンネル手前のアンデルマット で降り、バスでわざわざ氷河を見に行くプランも組み込んであった。やるね「JAM」さん。
氷河特急もここで降りてバスでローヌ氷河を見に行く



「ローヌ氷河末端」。 はじめて目にする氷河もあまりにも近寄り過ぎて、うねり流れる感じではない。 それでも流れている迫力は伝わって来る。「この氷は何万年前のもので、何千年かかってここまで押し流されてきたんだろうか」
ローヌ氷河末端



観光用に氷河の一部にトンネルを掘り観察できるようになっていたので 入ってみる(有料:5スイスフラン=約340円)
氷河のトンネル



奥行き約50〜60mくらいか・・・。おそらく氷河が動いて亀裂 の入ったところを時々は補修をするのだろう。「どうかこの瞬間は動かないで・・・」
外の光がステンドグラスのように入ってくる。



いよいよアルプスの街「ツェルマット」入りだ。ここにはバスでは入れない。 排ガス規制のため、40〜50分手前の駅から列車で入る。この街では「ホテルの小型電気自動車と馬車」しか走って はいけないそうだ。徹底した排ガス規制をみんなが守っている。日本では利害が先に主張され、 なかなか規制そのものが実現しないだろう。
いよいよアルプスの街「ツェルマット」入りだ。



駅からホテルまでをのんびりと歩いてゆく。荷物だけはホテルの「電気バス」 で運んでくれた。街並みは美しく、派手な看板もない。家々の窓は色とりどりの花で飾られ、軒下の道路に面したテラス ではのんびりとコーヒーなど(多分)を呑みながら、我々のような団体さんの観察か?とにかく団体で歩いているのは ほとんど「日本人」なのだろう。半パンにトレッキングシューズ、背にリュックを担ぎ、山用のスティックをもったご老人が かくしゃくと歩く姿は皆ヨーロッパの人達。元気だ。老夫婦のハイキング姿もよく目に付く。また、今でもときどき”ペータ少年” がたくさんの羊ややぎの群れを率いてこの街並みを「ガララン・ガララン」と鈴の音もにぎやかに山に向かう風物詩はまだ残っているそうだ。
「ツェルマット」の目抜き通り


7月24日(月)第4日目



ツェルマットから10両編成くらいのアプト式登山電車(2本のレールの間に 歯車のレールがある)で標高3131mのゴルナグラード展望台へ。あいにくの小雨模様もここまで くれば小雪になり、地面を白くしてゆく。 何も見えない!ガッカリしながら散策していると、突然ガスが切れ始め虹がかかる。それまで 一面視界ゼロのベールが徐々に解きほぐされ、ダイナミックな氷河が現れてきた。 「すごい!これぞ氷河だあ」マッターホルンの勇姿はまだ見せないが、おそらくこの大氷河の向こう に聳え立っていることだろう。次第にあちこちからうねり出る大氷河が、ときには氷曝となり、 ときには深い切れ目のクレバスや、真っ青な水を貯えた小さな湖を作るといった演出をしながらまるで巨大な 生き物のように横たわっている景色は豪快だ。
マッターホルン周辺を多くの大氷河が取り囲む



展望台からの下りは、途中、ローデンボーデン駅からリッフェルベルク駅までの 「ミニハイキング」。雨もあがり視界の増すことを期待しながら降りて行く。次第に高山植物も豊富になり、 地べたに這いつくばりながら撮りたいところだが、今回は「個人山行」ではないため、すぐに皆から置いて けぼりにされてしまう。 駆け足で追いつきまた1枚。思うような構図の花を見つける時間もない。三脚を構えて・・・なんてとても無理。 まるでスナップ写真だ。
(花の写真はこちら)日本の高山植物の仲間や、日本では目にする事の なかった花もある。
高山植物を撮りながらのミニハイキング



花の写真を撮りながら山も眺めてみるが上部のガスは切れそうにない。 晴れていればこの近くにあるリッフェル湖の「逆さマッターホルン」を見ることも出来ただろうに・・・。
ハイキングコースからの眺め



下山後のフリータイムにツェルマットの街を散策。街の中心部の一角に 昔の古い家並がある。農家であろうか今は倉庫か納屋になって使われている模様。添乗員さんの話だと「ねずみ返し」 という建築方法らしい。角材を縦横に組み合わせ、要所要所の柱の途中には扁平な石が挟まれている。なかなか 壊れそうにないが建てるのも大変だろう。
「ねずみ返し」の建築方法が残る古い農家の建物


7月25日(火)第5日目



2泊したツェルマットの街を去る朝、やっと顔を覗かせてくれたマッターホルン。 朝食前に急いでホテルを飛び出し、カメラアングルの良い街角を探しながら早足で急ぐ。なかば諦めていた光景だが最後に 望みをかなえてくれた。「ありがとう!マッターホルン。さようならツウェルマットの美しい街」
やっと顔を出してくれた「マッターホルン」

昨日見学した「山岳博物館」の展示で、この山の初登頂が如何に困難であったか、 如何に多くの犠牲者を出した後の”初登”であったかを記録した写真や展示物がふと頭をよぎる。
ちなみにマッターホルン(標高4478m)の初登頂は,1865年ウィンパーらによってなされている。
300mm望遠レンズ使用



今日はグリンデルワルドへの移動日。ホテルを出たバスはやがて山岳地帯を くりぬいた長いトンネルを経由して進むことになるのだが、そのトンネルにはレールしかないという。 すると驚いたことにバスは我々を乗せたまま長い長い連結の貨車に乗り込んで行くではないか。
トンネルの通過は貨車しかできない



バスの幅ぎりぎりの狭い貨車の荷台へ慎重に慎重に載せて行く。 「バスの運転手の腕の見せ所です。うまくいったら皆さん拍手をしてあげてくださーい」と、 添乗員の説明にやんやの拍手。
貨車にはもちろん照明などは無い。真っ暗いトンネルをゴーゴーと突き走る音からかなりの速度のようだ。 この間、バスの運転手も運転席から離れて何やら手元ランプでレポートでも書いている様子。
せまい貨車にバスを慎重に載せて行く



途中インターラーケンの街で昼食散策をし、グリンデルワルドに向かう。 車窓からは次第に迫力のある山々の景色が飛びこんでくる。アイガーやユングフラウの山域の一部だろうが 山の名前がわからないのが歯がゆい。
グリンデルワルドに向かう車窓から



多分これはアイガーの東に位置する”ヴェッターホルン”だろう。
車窓からの眺め



午後3時前にホテルに着き、フリータイムを使ってロープウェイで フィレスト展望台へ行く。ここは明日登って行くユングフラウヨッホとは反対側(谷を挟んで向い側)に 位置することから、全体の把握が出きるところだ。うーん!それにしてもなかなか名前がわからん。 どの方向の写真だったかな?。
BORT展望台からの眺め”シュレックホルン”と判明



これがアイガー北壁かな? いやヴェッターホルンかも?
BORT展望台からの眺め”ヴェッターホルン”と判明


7月26日(水)第6日目



いよいよ今日は「ユングフラウヨッホ」行き。乗りこむ登山列車はここでも 歯車のレールが敷いてあるアプト式だ。これがなけりゃ急勾配を10両近く連結して登って行けそうもない。 日本では軽井沢の碓氷峠越えを走っていた”アプト式”鉄道が有名。
中央に歯車が敷かれたアプト式レール

クライネシャイデック駅で乗り継ぎ、やや小型のケーブルカーのような車両に 乗り換える。この車両もギヤー付のアプト式だ。ぐんぐんと近づく山々に気持も高ぶってくる。
車窓から眺めるユングフラウ方面の山々



ここからはアイガーの山腹に掘られたトンネルを大きくUカーブしながら登って行く。 途中に2箇所の展望駅があり、トンネルの壁の一部にあけられた展望窓から外が見られるという。
トンネル内の展望駅



2つ目の展望駅で途中下車した窓からはすぐ手の届きそうなところにまで迫った氷河が眺められ演出効果満点だ。
トンネル内2つ目の展望窓



トンネルの終着駅でエレベータに乗り替えさらに登ったところが展望台。 今日は快晴だ。360度のパノラマ展望に大感激。目の前を雄大に流れる「アレッチ氷河」の素晴らしさ。 このアレッチ氷河は深さ1000m、長さ22Kmというヨーロッパ一を誇る大氷河だ。
ユングフラウヨッホからアレッチ氷河を望む



このピークはユングフラウの北西につながる山々の稜線かな?
同じく・・・。



これが標高4158mのユングフラウだろう。
同じく・・・。



このピークが標高4099mの”メンヒ”(300mm望遠レンズ使用)
同じく・・・。



鉄骨で組み立てられた展望台の足元はスッパリ切れ落ちた垂直の壁。
観光客で賑わう展望台



下山時は途中から下車し、山々を背にしながらのどかなハイキングを楽しむ。
(花の写真はこちら)
のどかなミニハイキング



羊や牛ものんびりと
クライネシャウデックにて



街中を流れる氷河の雪解け水は何故かどこもこのようなグレーがかったミルク色だ。 何を含んでいるんだろう・・・?(その後の調査で氷河が削ってゆく岩盤の中に含まれている成分や細かな砂が混じり このような色になり「グレッシャーミルク」と呼ばれる氷河融水だそうだ。地球温暖化の加速で融水も多くなり、どこの 氷河も年に30mくらいの割合で氷河が後退しているといわれている。悲しい・・・)
氷河から流れ出た”グレッシャーミルク”と呼ばれる濁った融水


7月27日(木)第7日目



今日は山を離れての観光日。午前中の”ブリエンツ湖でのランチクルーズ”。 午後からは世界遺産になっているスイスの首都ベルンの市内観光をする。
美しいベルン市内観光での一コマから。ゴミ一つ落ちていない街並みの歩道脇にポツンポツンとたたみ半畳くらいの 鉄蓋があり、ごみ収集のステーション?と日本人的発想で尋ねてみると「これは核シェルターの入口です。 スイスではほとんどの個人の家の床下にも核シェルターがあり、持たれない人には公共の核シェルターが用意されている。 核戦争や原子力施設などの非常時には観光客の人達も含めて3ヶ月は退避生活が出きるようになっております。」との 返事に唖然・・・・。良し悪しは別としても日米安保の傘下にいる我々には想像もしていなかった返事である。 華やかな観光国も「永世中立国」としての毅然とした政策に国民の信頼も厚いのだろう。
ベルンの街 この地下は核シェルタになっているそうだ



レマン湖畔にたたずむ歴史的な中世の建造物シヨン城は王侯貴族の要塞でもあり、 住居でもあったが、その歴史的経緯にはいろいろ血なまぐさい話が残っているそうだ。
レマン湖畔に建つシオン城の中は結構広い。
 

7月28日(金)第8日目



今日は3大名峰の3つ目”モンブラン”に逢いに行く日だ。モンブランは フランス領シャモニーからの入山となるため、パスポートが必要になるかもしれないとの説明に 「必ず必要なんと違うの?」と聞けば、大体はバスの運転手の一括手続きで済むんですが、ときどき キッチリ提示をしなければならないときもあるそうな・・・。道路に1本の遮断機があり、詰め所もスイスと フランスの部屋は壁1枚隔てたもので何とも簡単な国境である。難なく通過しシャモニーに着くが曇り空に 不安が走る。しかしやがてロープウェイは運行を開始し、途中の乗り継ぎを含めて30分足らずで富士山より 高い標高3842mの”エギーユ・デュ・ミディに着く。 ここでも岩峰の中をくりぬいてエレベータがあり、すごいスピードで一気に200mを運び上げてくれる。 高度障害に弱い人はたしかに大変な高度差だ。かすかに晴れ間も出てきたがこの程度が精一杯。氷の移動速度が もっとも早く1日に1mも動くと言われる”ボソン氷河”も眼下に見える。かなり下の方まで伸び、森林の 谷に食い込むように流れ込んでいる様は不気味な感じさえする。
展望台から見るモンブラン頂上直下の斜面



午後からはレマン湖畔のジュネーブ市内観光。公園の広場では大きな路面 チェスが盛んなようだ。
路面チェスに興じる市民



モントルーで2泊した5つ星ホテル”モントルーパレス”さすが5つ星、何もかもが 一味違う豪勢なホテルであった。夜も9時だと言うのにまだこんなに明るい。
モントルーの5つ星ホテル”モントルーパレス”


7月29日(土)第9日目



楽しかったスイスとも別れるときがきた。飛行機の関係から早朝の5時にホテルを 出発。朝食も携帯食だ。ジュネーブからオーストリヤのウィーン経由で帰国の途につく。ウィーンで4時間余りの乗り継ぎ時間を過ごし関空へ。やがて日暮れとなり 長い空の旅がつづく。
次第に暮れ行くロシヤの上空


7月30日(日)第10日目



そろそろ日本も近い。初めて体験する機中から見るご来光。
機中で迎えるご来光





(スイスの花の写真はこちら)
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