玉山登山記
紅菱会山岳部 陶山 英雄
戦中派の私は、新高山(玉山)と高砂族の名称は、幼年期によく耳にしていた。今回、その玉山に登頂できたことは、感無量の心境だ。
思いがけない二年前の、胃全摘手術後はじめての登山でもあり、少なからず体力面の不安があった。そのため、三ケ月程前から、六甲山、甲山、武庫川周辺など、総距離200キロのトレーニングをつんで、自分なりに体力の回復と自信をつけることに努力した。
やはり、最初の塔々加鞍部からの登りは、直進の急坂とジグザグを繰り返す道で、かなりキツかった。が、同行の方や、現地ガイドの心配りで、なんとかついていくことができた。お陰で、残りの行程は、全く快適に登山することができたと思っている。
玉山は阿里山を前座に、どっしりと大きく、かつ、奥深く品格のある山である。男性的な風格をもつ山岳だ。が他面、4000メートル級の割に、高い所までうっそうとした自然林に覆われており、足元の植物群もシャクナゲなど彩り豊かで、爽快さも味あわせてくれる。登山道も、木道の活用で、よく整備されており、登りやすい山だと思った。今後、玉山への登山者は、日本のアルプスほどではないにしても、増々ふえていくだろう。
私は、今回の登山で、日本、韓国、台湾全ての最高峰を登頂することができ、満足している。これも、ひとえに神菱会やガイドの面々のお世話のおかげと思っている。厚くお礼申し上げたい。今後もよろしくお願いする次第である。 |