仲間と登った想いでの山々

昭和39年夏山合宿 北アルプス剣岳 池の谷


と き昭和39年7月29日(火)〜8月5日(火)
コ−ス
神戸=富山=馬場島〜池の谷BC〜剣尾根登攀及び早月尾根から剣岳〜池の谷〜馬場島=富山=神戸
メンバー(CL)弘田(SL)南、後藤、大塩、西尾、津川、木村、郷原、藤原、周治、菅田、鈴木、前畑
行 動 記 録

〔先発剣尾根登攀隊:(L)弘田、後藤、大塩、津川、藤原、木村、周治〕

■ 7月29日(水) 

定時後大阪駅20:09発普通列車で富山へ向かう。

■ 7月30日(木) 

昨年同様、富山から馬場島、小窓乗越を経由して池の谷BCに入山。

■ 7月31日(金) 晴れ

偵察を兼ねて剣岳頂上へ早月尾根隊をサポ−トに行く。

■ 8月1日(土)〜2日(日) 晴れ

弘田、後藤 剣尾根上半登攀(1泊ビバーク)

〔先発早月尾根隊:(L)南、西尾、郷原〕

■ 7月29日(水) 晴れ

剣尾根登攀隊と共に出発。

■ 7月30日(木) 晴れ

馬場島で剣尾根隊と別れ早月尾根に向かう。この日は標高2600mm峰にてビバ−ク。

■ 7月31日(金) 晴れ

早月尾根上部から剣岳本峰経由池の谷BCへ入る。

 

〔後発隊:菅田、鈴木、前畑〕

  ■ 7月31日(金) 晴れ

 定時後大阪駅20:09発普通列車で富山へ向かう。

■ 8月1日(土) 晴れ

馬場島から小窓乗越を経て先発隊が設営ずみの池の谷BCに入り全員合流する。

■ 8月2日(日) 晴れのち曇り

今日、明日は全員揃っての合宿となり、メンバ−を組み換えての行動となる。昨日までの先発隊の報告では、今年は雪渓の状況がかなり悪く、池の谷左股の雪渓も数カ所で大きく口を明け、早月隊のサポ−ト時にもかなり手こずった模様。昨日入山した後発隊の3名と、西尾、大塩、前畑の6名で剣岳本峰へ向かう。  昨年の合宿の時は、BCのテントサイトからすぐに雪渓となり、アイゼンをつけて登降したが、今年は30分くらいガレ場を歩かされる。途中、左股右岸壁を登攀中にスリップ滑落し、死亡され昨日ここで荼毘に伏したという東京のパ−ティの事故の話を聞きながら、複雑な気持ちで通過する。  二股から左股に入り、雪渓をつめてゆくと小さなクラックが足元に現れはじめる。やがて大きな口をあけたクレバスに着く。クレバスの下はゴ−ゴ−と雪解け水が流れておりちょっと不気味だ。両岸は手ごわそうな岩肌の壁になっており、気安く取り付ける様な感じではないが右岸に何とか通過出来そうなル−トを確認し取りついたが、なかなかやっかいな足場である。これでは昨日先発の早月尾根隊が下って来るのにかなり苦労したことがうかがい知れる。ここを慎重に通過し先へ進む。  難関のクレバスを通過してからは、例年の状況と変わらず、雪渓を詰め池の谷ガリ−のガレ場を落石に気をつけながら進み稜線に出る。  剣岳の頂上はいつものことながら賑やかだ。一般の登山者はこない池の谷の静かなところから来たせいもある。  少し雲行きがあやしくなり、夕立の気配である。長居は無用と早々に頂上を後にはしたが、やはり途中からピカピカ光りだす。稜線でしかも背中にはピッケル等金物も持っている。避雷針を背負っているようなもので気持ちの良いものではない。あまり激しくならないうちに稜線から脱出しなければと先を急ぐ。幸い雷鳴もさほどうるさくない程度で終わりホッとしながら下山、BCに帰り着く。

  ■ 8月3日(月) 晴れ

今日は小窓尾根方面に登ってみることとし、菅田、  、  、  、  で出発する。二股手前から左第七ルンゼ(R7)へ取り付くが、殆ど登られていないル−トらしく、踏み跡もあまりはっきりはしていない。雪もなくさほどきびしい所もなく、思っていたよりたやすく登ってゆけそうだ。対岸の剣尾根とは対照的な比較的穏やかなコ−スである。登るに連れて対岸の剣尾根の急峻な岩稜と、さらにその奥に連なる剣岳本峰のダイナミックな景観が素晴らしい。  やがて小窓尾根の稜線に立つ。このあたりは岩稜というイメ−ジはなく、まだ森林限界内であり、岳樺やその他の広葉樹林が生い茂り、むしろ静かでのどかな気持ちの良い所である。近くには小窓尾根のなかでは、きわだった存在にさえ思われるニ−ドルやド−ムと呼ばれている岩峰があり、近くまで偵察に行く。ニ−ドルはの名のとおり、そそり立つ岩が二つ、三つ背比べでもしているかのようにくっつき合いながら立っている。その高さ約30mくらいか?。ド−ムはさらにその上部になるがどうやらここからはニ−ドルを通過しなくてはならず、その準備もないのでこれより先へはまたの機会とする。  尾根で休憩をしているとき、奇妙な花に眼が止まる。稲の花に似た地味な花である。驚いたことに笹の枝に咲いている。笹は5、60年に一度花を付けるという話は聞いたことはあるが、目にするのは初めてのことである。えらいものを見てしまった、縁起が良いのか悪いのか判らないが、とにかく非常に珍しいものには違いなさそうである。  夏山の一般コ−スでの喧騒はここ池の谷にはない。その中でもここ小窓尾根は全くの人知らず、一日中ここに居てもまず人には逢わないだろう。そんなのどかで、静かなひとときを過ごし、昼過ぎにベ−スキャンプに戻る。  今夜も素晴らしい満天の星空を枕に眠りにつく。最高!

■ 8月4日(火) 晴れ

 昨年夏の池の谷合宿の時に比べ、今年は雪渓の状況も悪く、かなり行動も制限されたが、それなりの成果は得られた合宿であった。数多い山行きのなかには、あまりガツガツせず、のんびり過ごせる山行きもあっていいだろうと、満足しながら撤収し、馬場島へ下山。20時01分富山発で帰神。

■ 8月5日(水) 晴れ

6時23分大阪着。

 

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