仲間と登った想いでの山々

昭和50年夏山 一般から募集 北アルプス剣・立山


と き昭和50年7月25日(金)〜7月29日(火)
コ−ス
神戸=富山=立山駅=美女平=室堂〜剣沢〜剣岳往復〜立山三山縦走〜室堂〜美女平=立山駅=富山=神戸
メンバー(CL)大塩
1班:(L)菅田、阿南、臼井、後藤
2班:(L)中塚、河本、鈴木、長坂、岩佐
3班:(L)渡辺、松本、桜庭、山本、若林、久家
4班:(L)細川、宮本、古賀、小谷、片山、野崎
行 動 記 録

■ 7月25日(金) 晴れ

最近は座席指定を確保しての入山となり、今回も総勢22名の指定がとれ、一度帰宅してから大阪駅に集合。夜行急行 "日本海" で出発する。

■ 7月26日(土) 曇り一時雨

富山で富山電鉄にのりかえ立山へ。いつもながらごったがえした賑やかなコ−スをケ−ブルカ、バスを乗り継ぎ室堂に着くが、別便の荷物が着かずしばらく時間待ち。9時少し前、やがて届いたザックを背負い、とりあえずバスタ−ミナルセンタ−の屋上に上がり朝飯を済ませる。  夜行列車の不自然な姿勢での睡眠からか、からだのあちこちの動きが悪い。全員で体操をし、身体をほぐして10時丁度に班ごとに出発する。  みくりが池にはまだ雪渓が残り湖面のブル−とのコントラストが美しい。雷鳥沢出合いの河原で冷たい水を口にすれば、眠気も吹っ飛び身体の芯から爽やかになる。残雪の豊かな斜面では夏スキ−を楽しんでいる連中を横目に過ごし、雷鳥沢の登りにかかる。途中2度の休憩をはさみ、各班とも12時20分に別山乗越に着く。本格的な山歩きは初めてという参加者も多かったが、大きく遅れる者もなくまず順調な入山である。  この頃よりガスがかかりはじめ、剣沢テント場に向かうころにはかなりの雨足となり、雨具を付けての行動を強いられる。  13時20分、テント場に着いたころには雨も上がり、剣岳を望みながら設営する手にも安堵感があるようだ。剣岳には裏の池の谷からの登攀が多かったが、表側からの登攀は昭和37年の夏山合宿以来のことである。  16時からのラジオ気象通報で天気図を作成。今日の雨も一時的なもので天候は安定しているようだ。太陽が沈むと途端に気温も下がり、かなり冷え込んでくる。明日の好天を約束してくれるかのような、満点の星空のもと、今年の夏山第一夜の眠りにつく。

■ 7月27日(日) 晴れ

3時15分起床、各班別に朝食も済ませ、ベ−スキャンプを5時に出発。今は時期的に夏山の最盛期であり登山者も多いが、頂上へのル−トは所々で悪場があり、初級登山者にはきつく、途中から引き返すパ−ティも多い。  今日は天候も良さそうだし、若手が多いい我々は結構快調に進む。 前剣のピ−クでは、ここまでのパ−ティが多く、大休止の後下ってゆくのだろう。我々はさらに進み、7時40分に平蔵のコルに着く。ここからは埋め込みボルトや鉄梯子を登ってゆくところや、 "かにの横這い" と呼ばれる壁をトラバ−スするところなどの難所がある。焦ることは無い、慎重に登ってゆこう。難所では待ち時間による休憩が多くなり疲れない。が自分の番になれば、緊張し疲れるポイントもある。かにの横這いも全員無事通過し、8時25分剣岳頂上に着く。ベ−スキャンプ地から3時間半の登りである。  剣岳の頂上は岩ばかりで這い松も無くゴツゴツした荒々しい雰囲気のする頂で、足元から切れ落ちる沢には急峻な雪渓がしっかりと詰まっている。八つ峰を岩登りしている山岳部夏山合宿別動隊として入山している「八つ峰登攀隊」にトランシ−バで交信したところ、歯切れのよい応答が返ってくる。彼らの行動も順調にいっている様子に安心する。しからば彼らは何処と、探してみるがスケ−ルの大きさを知らされるばかりで確認できようはずもない。 9時05分、頂上発BCへ向かい降りてゆく。場所によっては登りよりも下りのほうが厳しい所もあり、3点確保の姿勢を守りながら慎重に下る。  12時30分BC着。緊張から開放され、快い適度の疲労感に満足し、剣沢の午後過ごす。

■ 7月28日(月) 晴れ一時雨

4時起床。今日は立山三山を縦走し雄山を往復する日だ。6時10分BC発。BCから別山稜線へ突き上げている斜面を登り、稜線つたいに別山に進む。別山からの素晴らしい剣岳の眺めを期待して登ってきたが、あいにく先ほどからの濃いガスのため剣の雄姿は全く望めない。7時20分別山発。途中私用のため下山してゆく細川嬢を見送る。「ご苦労さん。」ここから先4班のリ−ダは大塩CLが引き継ぐ。真砂岳、富士の折立のゆるやかな稜線は、黒部ダムの緑に近い湖水を眺めながらの縦走である。  9時10分大汝岳通過、9時25分信仰の山、立山・雄山着。のんびりと大休止。ここは室堂から一の越を経由して登ってくるのが一般で、我々のように別山からくる登山者は1%もいないだろう。  さすが歴史の深い信仰登山の頂上だけあって、大きな社務所ではお札やお守り、金剛杖にすげ傘?等々沢山のみやげが並べてあり、売れ行きも良いようだ。自分もせっかく来たのだからと子供に交通安全のお守りを購入。ご利益がありますように。  10時05分雄山発。BCへ向け来た道を引き返す。途中からかなりのにわか雨となり、視界も無くなる。夕立か前線の通過か?。先ほどすれ違った親子ずれのパ−ティも難儀しているだろうか・・・  幸い雨もすぐ止み、視界も良くなってきた頃、12時50分BC着。今夜はもう最後の夜だ。

■ 7月29日(火) 晴れ

4時起床、今日は下山日。朝食後テントを撤収し6時20分テントサイトを出発する。別山乗越で荷物をデポし、空身で別山に登ることとする。昨日はガスで見られなかった別山からの剣岳を、今日はチャンスといさんで登る。やはり期待どうりに素晴らしい剣の姿を見ることが出来、全員満足して雷鳥沢を下り、地獄谷の奇景を見ながら室堂に10時丁度に着く。  バス、電車を乗り継ぎ、ひときわ暑く感じる下界の雑踏に揉まれながら、帰路の列車に乗り今回の山行を終える。 さて、これを機会に山岳部に入部してくれる人はいるのかな。期待してます。

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